【観国之光 282】自粛ムード一色 気分転換に外出は? 本社論説委員 内井高弘


花見シーズン前とはいえ、人がほとんどいない東京・上野公園。例年はもっとにぎわっているのだが(3月中旬)

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府が学校の全国一斉休校や大規模イベント自粛を要請したことが、国内の経済・社会活動の萎縮の引き金となった。最近は東京五輪の延期、中止論も飛び出す始末で、事態は深刻さを増す一方だ。

 影響は観光業界にも及び、外出を控える自粛ムードの広がりで人の動きが目に見えて減っている。死活問題だ。

 家にばかり閉じこもっていると、気分も滅入ってくる。お叱りを受けそうだが、たまには気分転換に外出や旅行してはどうだろうか。春めく自然に触れるのも悪くはない。もちろん、感染対策を意識した上でだが。

 国は現在の感染症対策として、(1)手洗い(2)人ごみを避ける(3)換気の徹底(4)せきエチケット―を挙げている。人ごみを避けるという意味では、観光地はいま空いている。貸し切り状態というのはオーバーだが、ゆっくり見て回れそうだ。

 外国人旅行者は減ったとはいえゼロではない。目立つのは欧米系の人たちで、情報番組に登場していたイギリス人のカップルは「東京は思っていたよりも静か。会社からは帰国したら2週間自主避難するよう言われているが、日本に来た価値はある。東京独り占めの感じ」と笑顔で答えていた。

 厚生労働省は15日、クラスターと呼ばれる感染者の集団がどこで発生しているかを示した地図をホームページで公開した。全国10都道府県で計十数カ所が発生しているという。随時更新されるので、参考までにチェックするのもいいのでは。

 宿泊施設も安心・安全に気を配っている。

 星野リゾートは12日、運営施設における感染予防策を発表した。通常の客室・パブリックエリア清掃に加え除菌清掃の対応、館内各所に除菌用アルコール設置など。ビュッフェレストランでも料理を取る際の個人専用トング、または取り箸の提供(希望者のみ)を行うという。

 大胆な取り組みも。岡山県倉敷市の鷲羽山下電ホテルと同県湯郷温泉のゆのごう美春閣は長期滞在向け「疎開」宿泊プランを販売。下電ホテルの場合、料金は1室2人以上の宿泊が条件で、平日は朝食付きで税込み3300円、2泊目以降はさらに500円を割り引く。

 永山久徳社長はフェイスブックに「やぶれかぶれではない。家族で1週間単位で滞在していただくにはこのくらいしなきゃ」と投稿している。

 テーマパークなど休園しているところも少なくないが、探せば見どころはいっぱいある。温泉も独り占めできるかもしれない。世界保健機関(WHO)がパンデミック(世界的大流行)と認めたため、長期戦もにらんだ対応が必要となりそうだ。

 
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